AIコーディングエージェント harness 徹底比較 2026:9ツールとモデルの組み合わせ

OpenRouter の実使用データで判明。Claude Code で最も使われているモデルは GLM 5.2 で、Anthropic 自社4モデルの合計を上回る。harness を選び、モデルは別に選ぶ。

AIコーディングエージェント harness 徹底比較 2026:9ツールとモデルの組み合わせ

要点: harness が9つ、そしてカテゴリ全体の問いを組み替える発見がひとつ。OpenRouter の30日間アプリデータでは、Claude Code の中で最も使われているモデルは GLM 5.2 で 3.14T トークン、Anthropic 自社4モデルの合計 1.98T を上回ります。Codex は正反対で、上位10モデルの約 86% が OpenAI 自社に留まります。Cline と Pi はどちらも DeepSeek V4 Flash が首位。つまり「どの harness が最良か」は問いが1つではなく2つです。制御ループで harness を選び、モデルは別に選ぶ。選べるツールでは、開発者はすでにそうしています。

要約:どの harness を選ぶか

Harness動作環境価格モデル差し替え拡張手段ライセンス
Codex CLIターミナルChatGPT プランまたは API キーResponses API のみAGENTS.md、MCPApache-2.0
Claude CodeターミナルClaude プランまたは API キー可、ANTHROPIC_BASE_URLhooks、サブエージェント、skills、MCPプロプライエタリ
Google Antigravityデスクトップ、IDE、CLI個人開発者は無料枠不可、内蔵メニューのみエージェントマネージャー、サブエージェントプロプライエタリ
GitHub CopilotIDE、CLI、クラウドAI Credits で $0 / $10 / $39 / $100Chat のみ、拡張経由skills、MCPプロプライエタリ
CursorIDEサブスクリプションChat のみ、しかも不安定rules、MCPプロプライエタリ
ClineVS Code、JetBrainsキー持ち込み可、OpenAI/Anthropic 互換エンドポイントなら何でもplan モード、MCPApache-2.0
OpenCodeターミナル、デスクトップキー持ち込み可、models.dev の全プロバイダーAGENTS.md、MCPMIT
Reasonixターミナル、デスクトップ、VS Codeキー持ち込み可、reasonix.tomlMCP、サイドカー、plan モード、チェックポイントMIT
Piターミナル、RPC、SDKキー持ち込み可、15以上のプロバイダー、セッション途中でも拡張 API、ほぼそれだけMIT

9つのうち2つは、メインのエージェント画面で外部モデルをまったく指せません。さらに3つは指せますが、無視できない条件付きです。残る4つはモデルを設定1行として扱います。この線引き1本のほうが、この記事のどのベンチマークよりも、あなたの請求額とロックインをよく予測します。

AI コーディングエージェントの harness とは

harness とは、モデルを包んでトークン生成をリポジトリ上の作業に変えるプログラムです。 モデルがエンジンなら、harness はトランスミッションでありシャシーでありブレーキです。

具体的には、モデル自身にはできない5つの仕事を harness が持ちます。コンテキストの組み立て(どのファイルと過去のどのターンを送るか)。ツールの定義と実行(read_file の呼び出しが実際にファイルを読むようにする)。権限のゲート(rm -rf を実行するか、確認するか、拒否するか)。リカバリの管理(パッチが当たらない、テストが赤くなったときにどうするか)。そしてセッション状態の保持(中断した実行をゼロからではなく再開できるようにする)。

同じモデルを使っている2人の体験が大きく食い違うのはこのためです。GPT-5.6 Sol を Codex から Cline に移せば、モデルは同一のまま、ファイル読み込み戦略、ツールスキーマ、リトライ方針、承認フローがすべて変わります。検索される呼び名はばらついています(agent harness、コーディングエージェント、AI コーディングツール)が、指しているのは同じレイヤーです。

harness どうしは実際どこが違うのか

軸は4つ、そして4つ目だけが使い始める前には見えません。

どこで動くか。 ターミナル優先(Codex、Claude Code、OpenCode、Reasonix、Pi)、エディタ内(Cline、Cursor、Copilot)、あるいは Antigravity 2.0 のように独自ウィンドウを持つ独立したエージェントマネージャー。パイプでつなげるか、cron で回せるか、SSH 越しに動かせるかがここで決まります。

モデルを自分で選べるか。 このカテゴリで最も明快な二分法です。ツールが設定から base URL を読むか、モデルメニューがベンダー固定でそれで終わりか、どちらかです。

何で拡張するか。 hooks もサブエージェントも skills も MCP サーバーも揃った側と、意図的に素のループだけ渡して上に載せさせる側。Claude Code と Pi はわざと両極に立っています。

負荷がかかったとき制御ループがどう振る舞うか。 使い続けるかどうかを決めるのはこれです。編集前に正しいファイルを読むか。差分を狭く保つか。こちらのチェックを走らせるか。テストが落ちても迷走せず立て直せるか。中断後に再開できるか。2026年7月のharness 選定に関する r/AI_Agents の長いスレッドはまさにここに収束していて、最上位のコメントが私たちより端的に言い当てています。

人はモデルを過大評価し、実行ループを過小評価しがちだ。

本記事もこの枠組みで進めます。モデルの品質はもはや参加条件で、差がつくのはループの挙動です。そしてそれは、どのベンチマークも報告しない項目でもあります。

ループをどう検証したか

ループが主張の中心なら、実際に回すべきです。小さな Python リポジトリを用意し、本物のバグを仕込みました。リトライ関数が urllib.error.HTTPError を捕捉している一方、OpenAI SDK が投げるのは openai.RateLimitError なので、429 の分岐に永久に入らずテストが落ちます。9ツールのうち6つ(Codex CLI、Claude Code、Cline、OpenCode、Reasonix、Pi)を同じゲートウェイに向け、同じリポジトリで完全に同一のプロンプトを与えました。テストを実行し、根本原因を1行で述べ、修正を unified diff で示し、ファイルは一切編集しないこと。

6つとも根本原因は正しく指摘しました。これが最も面白くない結論なので先に片付けます。差は下の層に出ました。Codex CLI、OpenCode、Cline は回答前にテストを実行し、Claude Code、Reasonix、Pi はコードを読んで答えました。修正後に残る不要な import urllib.error について、Codex は文章で指摘し、Claude Code は diff の中で黙って削り、残る4つはそのまま残しました。そして6つのうち4つが、if e.code != 429 のガードを残したままのパッチを出しました。3つは明示的に書き、1つは except 行だけを変えて手つかずで残しています。openai.RateLimitError を捕捉した時点でこのガードは決して通りません。.code は API が返す文字列のエラーコードであって HTTP ステータスではなく(ステータスは .status_code にあります)、e.code != 429 は常に真になり、リトライ経路には到達しないからです。

最後の点は harness というよりモデル側の産物ですが、それこそが論点です。ループが自分のパッチを検証するかどうかを決めるのは harness であり、この6つはどれも検証しませんでした。

同じやり方で回せなかった3つのうち、Copilot と Cursor はカスタムプロバイダーでエージェントモードに届くのに有料シートが要り、Antigravity は Google へのサインイン前には何も話しません。以下の各節はベンダーのドキュメントと一次的な CLI 出力に基づくもので、同等の実行ではない旨を明記しています。

各 harness で開発者は実際どのモデルを動かしているか

たいていの比較記事はどのツールを買うべきかを言って終わります。より有用で、実際に検索もされている問いは、ツールを手に入れた後どのモデルを入れるかです。OpenRouter はトラッキングを有効にしたアプリについてアプリ別のモデル使用量を公開しており、この問いを意見ではなくデータに変えてくれます。

以下は 2026-08-11 時点の30日間データで、各ツールの公開 OpenRouter アプリページからのものです。

Harnessトークン(30日)使用モデル数1位2位3位首位が上位10に占める割合
Claude Code7.97T302GLM 5.2 3.14TClaude Opus 4.8 582BClaude Sonnet 5 558B49%
Cline3.86T314DeepSeek V4 Flash 1.26TStep 3.7 Flash 812BLaguna M.1 370B37%
Pi2.79T298DeepSeek V4 Flash 406BDeepSeek V4 Flash 0423 299BGLM 5.2 289B20%
Codex1.01T348GPT-5.6 Sol 321BGPT-5.6 Luna 177BDeepSeek V4 Flash 108B35%

最後の列を上から下へ読むと、4つのツールそれぞれの性格診断になります。

Claude Code が最も集中していて、しかも他社モデルに集中しています。 GLM 5.2 だけで上位10トラフィックの 49%。Opus 4.8、Sonnet 5、Opus 5、Fable 5 を全部足しても Anthropic 陣営は 1.98T で、GLM 5.2 は単独でそれを約 1.6 倍上回ります。Kimi K3 と DeepSeek V4 Flash の2ビルドも上位10入りしています。ループの評価が最も高い harness が、この母集団では主に非 Anthropic エンジンを載せるシャシーとして使われているわけです。

Codex はモノカルチャーです。 上位10のうち7つが OpenAI モデルで、合計約 86% を占めます。残る3つの外様(DeepSeek V4 Flash、Nemotron 3 Ultra、GLM 5.2)が 14% を分け合います。Responses 限定という制約を総量で見るとこうなります。壁ではなくフィルターであり、そして大半の人はわざわざ乗り越えません。

Cline は最初からコスト最適化に振っています。 DeepSeek V4 Flash が 1.26T で首位、Step 3.7 Flash が 812B で続き、最初の Anthropic モデルは10位に 87.7B、上位10の約 2.6% として現れます。Cline のユーザーが最適化しているのはタスク単価であって、リーダーボード順位ではありません。

Pi は計測した4つの中で最も分布が平らです。 首位モデルが 20%、上位10は DeepSeek、智譜、Moonshot、Anthropic、OpenAI、xAI、Nvidia にまたがります。「機能ではなくプリミティブ」を掲げるツールとして、使われ方が主張と一致しています。

このデータが覆っていない範囲。ここを曖昧にする説明は疑ってください。 OpenRouter が見えるのは OpenRouter を経由し、かつトラッキングを有効にしたトラフィックだけです。Anthropic のサブスクで Claude Code を動かす人、ChatGPT プランで Codex を動かす人、GitHub 自社推論で Copilot を使う人、Cursor 自社モデルを使う人は、ここでは全員不可視です。したがってこれは市場シェアではありません。もっと狭く、しかし harness 比較を読む人にとってはより有用な数字、すなわち選択権が本当にユーザーの手にあるとき何が選ばれるかです。誰が完全に不在かにも注目してください。Antigravity、GitHub Copilot、OpenCode、Reasonix はこのデータセットに項目がなく、その理由は2種類あります。以下の各節で明らかになります。

モデル起点で引く早見表

特定のモデルに合う harness を探して来た方へ:

すでに使っているモデルまず試すもの理由
GLM 5.2Claude Code、次に OpenCodeAnthropic Messages API を話すので base URL の差し替えだけで設定が完了し、しかもこの harness で最も動かされているモデルでもあります。ホスティングと重みの自前運用を天秤にかけているなら、ハードウェアの計算は harness 選定とは別問題です
DeepSeek V4 FlashReasonix、次に ClineReasonix は DeepSeek のプレフィックスキャッシュを軸にループを組んでいます。Cline はこのモデルの流量が最も多い場所です
DeepSeek V4 ProOpenCode、次に Piどちらも Flash を既定にしたままタスク単位で上位モデルへ切り替えられます
Kimi K3Claude CodeAnthropic 互換エンドポイントで、すでに Claude Code の上位10に入っています
Qwen 3.8 MaxCodex CLIResponses API で公開されている数少ない非 OpenAI モデルの1つで、Codex が要求するのはまさにそれです
MiniMax M3Cline、次に OpenCode素の OpenAI 互換 Chat Completions で、プロトコルの小細工が要りません
GPT-5.6 SolCodex CLIファーストパーティの既定値で、チューニングの前提も噛み合います

Codex CLI:OpenAI のエージェントと、それを規定するプロトコル

どこで動くか

ターミナルのみ。npm i -g @openai/codex で入る Rust バイナリで、別途デスクトップアプリもあります。設定は ~/.codex/config.toml、プロジェクト指示は AGENTS.md。直近30日で OpenRouter 全体 #15、コーディングエージェント内 #8。知名度の割に小さいのは、Codex ユーザーの大半が ChatGPT プランから出ないからです。

Codex CLI 0.147.0 が wire_api を responses に設定してサードパーティゲートウェイに接続している画面。config.toml のプロバイダーブロック、モデル bailian/qwen3.8-max とプロバイダー ofox を示すセッションヘッダー、そしてエージェントが pytest を実行してから retry.py の例外型不一致を指摘するまでが写っている

いくらかかるか

ChatGPT サブスクリプションに同梱、または API キーで従量課金。OpenRouter 上の存在感が実態より小さく見えるのはこの同梱のためです。

何で拡張するか

AGENTS.md、MCP サーバー、そして Claude Code と Cursor の設定を取り込む import コマンド。サンドボックスはこの比較で最も強力で、macOS では seatbelt、Linux では Landlock と seccomp による OS レベル分離に承認モードを重ねています。シェルコマンドを自動承認する運用なら、この差は実際の金額に換算できます。

何に縛られるか

ベンダーではなくプロトコルです。Codex は OpenAI Responses API しか話しません。wire_api = chat は削除済みで、現行ビルドはそれを設定すると起動を拒否します。したがってゲートウェイ側は /v1/chat/completions だけでなく /v1/responses を公開している必要があり、しかも対応はゲートウェイ単位ではなくモデル単位です。繰り返し人を躓かせる細部が2つあります。モデル ID の接頭辞はカスタム model_providers エントリの下でのみ効くこと、そしてゲートウェイがモデルを掲載していても、そのモデルに Responses で到達できるとは限らないことです。設定の詳細は ofox Codex 連携ガイドモデルプロバイダーのページにあります。

「ゲートウェイ単位ではなくモデル単位」は頷きやすい一方で像を結びにくいので、実際にぶつかったときの様子を書きます。正しいプロバイダーブロックを入れた Codex 0.147.0 が、すべてのリクエストで Invalid 'input[0].tools[0].description': empty string を返しました。ゲートウェイの手前にログを取るリバースプロキシを置き、Codex が実際に送っているボディを読みました。Codex はツールの名前空間を developer メッセージで宣言しており、functions 名前空間は description: "" を積んで送っていたのです。同じボディを5モデルに再生すると、3つが拒否、1つはそもそも Responses プロバイダーがなく、1つが完走しました。その空文字列を埋めるだけで、失敗していたモデルが 200 を返します。ゲートウェイのせいでも私たちのせいでもなく、クライアントが送るフィールドを、上流によっては minLength: 1 として検証し、別の上流は無視するというだけの話でした。

Codex CLI 0.147 が実際に送るリクエストボディをターミナルで表示した画面。functions 名前空間が空の description 文字列を持っており、その下に同じボディを5モデルへ再生した結果の一覧が続く。gpt-5.6-sol、gpt-5.5、deepseek-v4-flash は 400、glm-5.2 は Responses プロバイダーなしで 503、qwen3.8-max は 200、空の description を埋めると gpt-5.6-sol も 200 を返す

ここから持ち帰れる教訓は、どの harness にも通じます。クライアントとゲートウェイの言い分が食い違ったら、設定をいじる前にワイヤ上の実物を捕まえること。私たちが使ったのはプロキシ1台と5分でした。wire_api の値を当てずっぽうで試していたら、午後がまるごと消えたうえに誤った結論に着地していたはずです。

Claude Code:拡張面は最も深く、中身は主に他社モデル

どこで動くか

ターミナル、npm 導入、プラグインのエコシステムと IDE ブリッジ付き。OpenRouter 全体 #2、7.97T トークン、確認されたモデルは 302 種類です。

いくらかかるか

Claude のサブスクリプション、API 課金、あるいはサードパーティゲートウェイ。この3経路は差が大きく、「Claude Code はいくらか」に単一の答えはありません。

何で拡張するか

ここでは断トツです。hooks がツールイベントで発火し、サブエージェントが自分のコンテキストで限定タスクを回し、skills が再利用手順をパッケージ化し、MCP サーバーがツールを足し、CLAUDE.md がプロジェクト指示を運びます。個人の癖ではなくチームのプロセスを harness に埋め込みたいなら、それを支えられるのはこれです。

何に縛られるか

名前から想像するよりずっと少ないです。ANTHROPIC_BASE_URLANTHROPIC_AUTH_TOKEN で Anthropic Messages API を話す任意のエンドポイントへ向けられます。GLM 5.2、Kimi K3、DeepSeek がその使用データに現れるのはこのためです。手順は環境変数2つで全部です。

Claude Code 2.1.220 が ANTHROPIC_BASE_URL をサードパーティの Anthropic 互換エンドポイントに向け、z-ai/glm-5.2 を動かして、リトライバグの根本原因を正しく診断し unified diff を返している画面

何が引き継がれ、何が引き継がれないかに注目してください。GLM 5.2 は例外型の不一致を正しく指摘しましたが、そのパッチは if e.code != 429 のガードを残しており、これは決して通りません。openai.RateLimitError において .code は文字列のエラーコードであって HTTP ステータスではないからです。同じ harness、同じプロンプト、モデルだけ違って、差分がわずかに悪化します。本当のロックインは挙動側にあります。システムプロンプト、ツールスキーマ、コンテキスト戦略が Claude モデル向けに調整されているので、差し込んだモデルは他人向けに作られた前提を引き継ぎます。正確な変数は ofox Claude Code 連携ガイドモデルプロバイダーのページを参照してください。逆方向へ移るなら、Claude Code から Codex への移行手順を用意しています。

Google Antigravity:ひとつのブランド、4つの入口

どこで動くか

あちこちで動き、そこが紛らわしい点です。Antigravity はいま4つの別物として出荷されています。複数のローカルエージェントを並列実行するデスクトップ司令塔の Antigravity 2.0、ターミナル面の Antigravity CLI、フルエディタの Antigravity IDE、そして自分でエージェントを書くための SDK です。2025年11月にエージェント優先の IDE として登場し、そこから外側へ広がってきました。

Gemini CLI が終了して Antigravity CLI に置き換わる、と報じたものがあります。一次情報を探しましたが、見つかりませんでした。2026-08-11 時点でこの主張には裏付けがありません。google-gemini/gemini-cli リポジトリはアーカイブされておらず、非推奨の告知もなく、preview・stable・nightly の各チャンネルで配信が続いています。antigravity.google も Google Developers Blog も述べていません。Google が明言するまでは併存として扱ってください。

いくらかかるか

執筆時点で個人開発者は無料、有料の組織向けティアがあり、Google の上位 AI サブスクリプションでは使用上限が高くなります。買っているのはトークンではなく枠です。

何で拡張するか

2.0 のマネージャーは複数エージェントを同時に走らせ、メインエージェントが一時的なサブエージェントを切り出せるので、並列作業が主コンテキストを汚しません。内蔵ブラウザにより、UI の変更をアサーションではなく目視で検証する道があります。

何に縛られるか

モデルメニューです。Antigravity は Google 自社モデルと厳選されたサードパーティ選択肢を提示しますが、向き先を変える base URL はありません。ルーティングするものがないので、OpenRouter のアプリデータにも項目がありません。すでにゲートウェイに統一している環境なら、この比較で唯一そこに加わらないツールです。

それはフラグの一覧だけでも確認できます。CLI を入れて(brew install --cask antigravity-cli、バージョン 1.1.12)オプション一覧を見ると、--base-url--provider--api-key もありません。モデル一覧を出させようとしても一覧は返らず、サインインの壁が返ってきます。

Antigravity CLI 1.1.12 の help 出力。完全なフラグ一覧に base-url、provider、api-key のいずれも存在せず、続く agy models は「Please sign in to view available models」を返している

このサインインの壁こそ、Antigravity がここで唯一「キーだけの経路」をまったく持たないツールである理由です。Copilot と Cursor が例のテストに参加できなかったのは、カスタムプロバイダーでのエージェントモードが有料シートの向こうにあるからで、シートを買えば入れます。Antigravity は Google アカウントなしでは何も話さず、いくら払っても変わりません。

GitHub Copilot:誰もが持っている既定解、課金はクレジット制

どこで動くか

GitHub が届く範囲すべて。VS Code をはじめとする IDE、ターミナルの Copilot CLI、プルリクエストを開くクラウドコーディングエージェント、そして GitHub 内でのコードレビュー。広さそのものが製品です。

いくらかかるか

ここは変更があり、既存の解説の多くが古くなっています。課金はいま GitHub AI Credits で、1 credit = $0.01 です。Free が $0、Pro が月 $10 で $15 分のクレジット込み、Pro+ が $39 で $70 分、Max が $100 で $200 分、Business と Enterprise のシートは別料金です。インライン補完と next-edit 提案はクレジットを消費せず、chat、エージェントモード、コードレビュー、Copilot CLI は消費します。直近の変更履歴では、サイクルごとのクレジット可視化と、CLI・SDK 内で設定できるセッション上限も追加されています。価格ページは動くので、予算を立てる前に現行のプランページを確認してください。

何で拡張するか

MCP サーバー、カスタム指示、リポジトリ単位の設定、加えて CLI にはタスク種別でルーティングする自動モデル選択があります。

何に縛られるか

モデルメニュー、ただし注釈が1つ。Copilot 自身の画面は Copilot のモデルを動かします。外部エンドポイントに届くのはサードパーティ製 VS Code 拡張経由、しかも Copilot Chat 内のみ、さらに個人サブスクリプション限定です。Business と Enterprise のシートでは使えず、Tab 補完はいずれにせよ GitHub のモデルで動き続けます。ofox Copilot 連携ガイドがその経路をプロバイダー欄の具体値まで含めて記載し、どこで行き止まりになるかも正直に書いています。

Cursor:とても良いエディタ、ただしエンジンルームは封印

どこで動くか

独立したエディタとして。この比較で最も広く使われている有料ツールですが、OpenRouter のコーディングエージェント順位では #11、30日間で 471B トークンと、同じプラットフォーム上の Claude Code の約17分の1です。この差は難点ではなく要点で、Cursor の推論は自前なので外に出る必要がほとんどありません。

いくらかかるか

シート単位のサブスクリプションに、使用量ティアが乗ります。

何で拡張するか

rules ファイル、MCP サーバー、そして強力な複数ファイル編集ループ。Tab モデルは「これだけは代替がない」と最も多く言われる機能で、エージェント作業を別の場所でやるとしてもエディタを残す実際の理由になっています。

何に縛られるか

ここのどのツールより強く、しかも私たち自身のドキュメントがそれを率直に書いています。ofox Cursor ページはセットアップガイドではなく互換性に関する注意書きという体裁です。Tab 補完は Cursor のモデルにハードコードされていて置き換えられず、エージェントモードはカスタムプロバイダーでは使えず、無料プランのアカウントはカスタムモデルを一切使えず、動作する Chat 経路すら Auto モードに上書きされます。そこで示される推奨は、経験を積んだユーザーが独立に到達するものと同じです。Cursor はエディタとして残し、エージェント作業は内蔵ターミナルで Claude Code か Codex CLI を走らせる。これは回避策というより、2つのレイヤーの正しい分担の記述です。

Cline:コスト最適化されたループ

どこで動くか

VS Code と JetBrains の拡張として。OpenRouter 全体 #4、IDE 拡張カテゴリ #2、2024年10月から稼働しており、ここに挙げたツールの中で OpenRouter のアプリデータ上いちばん古株です。

いくらかかるか

拡張自体は無料。キーは持ち込みで、使用データを見るとユーザーはそのキーをコスト重視で選んでいます。

何で拡張するか

計画してから実行する2段構え、並列作業を管理するタスクボード、MCP サーバー、フロントエンド変更を検証するブラウザ自動化。計画まわりの作りは、多くのターミナルエージェントより明確に強いです。

プロバイダーの守備範囲はここでは断トツで、リストに 185 プロバイダー、しかも「OpenAI Compatible」が高度な設定に埋もれた抜け道ではなく一級市民として並んでいます。

Cline の Model Providers 画面。185 の利用可能プロバイダーのうち2つが有効になっており、Cline Usage-Billing、OpenRouter、AWS Bedrock、LiteLLM、そして有効化されたカスタム OpenAI Compatible の項目が見えている

何に縛られるか

ほとんどありません。OpenAI 互換でも Anthropic 互換でも任意のエンドポイントが使え、DeepSeek V4 Flash が上位10トラフィックの 37% を占めるに至ったのもそのおかげです。ゲートウェイに向けるのは cline auth コマンド1つで、その後のループはファーストパーティのキーを使うときと同じ挙動になります。

Cline CLI 3.0.52 を OpenAI 互換ゲートウェイに設定して deepseek/deepseek-v4-flash を動かし、pytest を実行して retry.py を読んでから根本原因と unified diff を返している画面

ユーザーから最も多く報告される失敗はロックインではなくループの信頼性です。例の r/AI_Agents スレッドでは、不正な形式のツール呼び出しでジョブが止まると述べ、それをより穏当に処理するフォークへ移った人がいました。1件の報告として重みづけすべきですが、指している軸は正しく、モデルではなくループです。私たち自身も隣接する粗さに1つ当たりました。OpenAI 互換経路で推論対応の Claude モデルに CLI を向けると内部エラー text part ... _reasoning_0 not found で失敗し、同じエンドポイント上の非推論モデルはきれいに完走しました。設定は ofox Cline 連携ガイドにあります。

OpenCode:構造からしてモデル非依存

どこで動くか

ターミナル優先で、デスクトップアプリとエディタ面もあります。npm から opencode-ai として導入、MIT ライセンス、プロジェクト指示は AGENTS.md。OpenRouter のアプリ順位には現れませんが、これはトラッキングの任意参加を反映したもので、ユーザーがいないという意味ではありません。

いくらかかるか

無料かつオープンソース。払うのはトークン代だけです。

何で拡張するか

AGENTS.md、MCP サーバー、そして models.dev に載る全プロバイダー(2026-08-11 に確認した時点で 183)に届くプロバイダーレイヤー。セッション途中の切り替えにも対応します。ofox は組み込みプロバイダーとして同梱されているので、設定は JSON ブロックではなく環境変数1つで済みます。

何に縛られるか

構造的には何もなく、それが設計そのものです。同じ失敗テストの課題では、作業過程を最も完全に見せたのがこれでした。スイートを実行し、トレースバックを出力し、それからソースを読んで答えています。

opencode 1.18.9 がカスタムプロバイダーブロック経由で deepseek/deepseek-v4-flash を動かし、pytest を実行して RateLimitError の完全なトレースバックを表示したあと、retry.py を読んで例外型の不一致を指摘している画面

トレードオフは、既定ベンダーがない harness にはプロンプトを調整してくれるベンダーもいないという点です。持ち味を引き出すには Claude Code や Codex より設定量が要ります。プロバイダー設定は ofox OpenCode 連携ガイドにあり、2つのターミナルエージェントの直接対決は OpenCode と Codex CLI の比較に書いています。

Reasonix:コミュニティ製、DeepSeek 向けチューニング、キャッシュ優先

どこで動くか

ローカルエンジン1つに4つの入口。CLI と TUI、デスクトップアプリ、ブラウザ面、そして ACP で同じバックエンドと話す VS Code 拡張です。CGO_ENABLED=0 の単一静的 Go バイナリとして配布され、任意の OS で npm i -g reasonix、macOS なら brew install esengine/reasonix/reasonix。バージョン 1.23.0 が 2026-08-10 に出ており、活発に保守されています。

まず名前の訂正から。Reasonix は DeepSeek の製品ではありません。コミュニティプロジェクトで、リポジトリは github.com/esengine/DeepSeek-Reasonix、MIT ライセンス、独自サイトは reasonix.io です。DeepSeek の公式ドキュメントがエージェント連携として挙げるのは Claude Code、GitHub Copilot、OpenCode で、Reasonix には触れていません。解説の大半を載せているサードパーティのサイトも、ページ上で独立・無関係だと述べています。ツール自体は実在し興味深いものですが、そこに付いた DeepSeek ブランドは公式ではありません。

いくらかかるか

無料かつオープンソース、あとはモデル代。その2つ目の数字を小さく保つことが設計目標です。

何で拡張するか

MCP サーバーがツールとプロンプトを提供し、Extension Protocol v1 のサイドカーはさらに踏み込んで、ランタイムイベントの傍受、プロバイダーの追加、バージョン付きプラグインパッケージの配布まで行えます。すべては単一の reasonix.toml で宣言され、モデルのハードコードはありません。長時間の無人実行に必要で Pi が意図的に省いた安全装備も揃っています。plan モード、権限レイヤー、ワークスペースサンドボックス、そして読めて取り消せるターンごとのチェックポイントです。ここで他のどこにもない能力が1つあります。実行役のモデルと計画役のモデルを、キャッシュが安定した別々のセッションで同時に走らせられることです。

何に縛られるか

プロトコル面では何もありません。OpenAI 互換エンドポイントなら設定1エントリで済み、reasonix.toml がその全部です。

Reasonix 1.23.0 が reasonix.toml のプロバイダーブロック1つで OpenAI 互換ゲートウェイを指し、リトライバグの根本原因を1行、unified diff を2行で返している画面

面白い偏りはループ自体にあります。DeepSeek のプレフィックスキャッシュ挙動を軸に設計されているので、長時間セッションがコンテキストを再課金されずキャッシュに当たり続けます。エージェントを何時間も回すなら本物の差別化要因で、短時間で区切って使うならほぼ無関係です。なお DeepSeek のキャッシュはバイト単位のプレフィックスではなく完結した単位で一致するため、節約が効き始めるのは想像より遅めです。宣伝上のキャッシュ率ではなく、自分の作業の形に合わせて計画してください。

Pi:あえてほとんど何も同梱しない harness

どこで動くか

ターミナル、加えて print/JSON 出力、RPC サービス、組み込み可能な SDK。npm i -g @earendil-works/pi-coding-agent で導入、バージョン 0.84.1 が 2026-08-07 に着地しました。OpenRouter 全体 #7、2.79T トークン、MIT ライセンスです。

いくらかかるか

無料かつオープンソース。

何で拡張するか

拡張 API、そしてあえてそれ以外はほぼ何も。Pi は MCP なし、サブエージェントなし、plan モードなしで出荷され、それをロードマップの穴ではなく選択だと説明しています。機能ではなくプリミティブ、という立場です。その手の機能が欲しければ拡張面の上に自分で作ります。エージェントの振る舞いについて既に見解を持っているチームなら、素のループから始めるほうが他人の既定値と戦うより速いです。それ以外の人にとっては初日の作業が増えます。

何に縛られるか

何もなく、使用データがそれを裏づけます。15以上のプロバイダー、/model によるセッション途中のモデル切り替え、そして計測したどのツールより平らな分布で首位が 20%。プロバイダーの追加は ~/.pi/agent/models.json にブロックを1つ書くだけです。

pi 0.84.1 が models.json でカスタムプロバイダーを宣言して OpenAI 互換ゲートウェイに接続し、deepseek/deepseek-v4-flash を動かして根本原因と unified diff を返している画面 1点だけ注意が要ります。プロジェクト自身が公にしていることですが、Pi はファイルシステム、プロセス、ネットワーク、認証情報へのアクセスに関する権限システムを内蔵していないので、サンドボックス化は自分の仕事です。機微なものを渡すならコンテナで動かしてください。r/AI_Agents スレッドには、同等の作業で Pi が別の harness より目に見えて多くトークンを消費するという報告もあり、コンテキスト戦略を利用者に委ねる設計と整合しています。

知っておく価値のある他の AI コーディングエージェント

以下は、守備範囲が狭いか、同じ実機検証を通せなかったかの理由で、独立した節にしていないものです。

ツール形態注目点ofox ドキュメント
Kilo CodeVS Code、JetBrains、CLIOpenRouter のコーディングエージェント第3位、Cline より上なし
Roo CodeVS Code 拡張1つのワークスペースに複数の専門エージェント役割なし
Aiderターミナルリポジトリマップ。編集のたびに簡潔な構造ビューを先送りし、誤ったファイルの編集を減らすその他経由
Zedエディタ高速なネイティブエディタとエージェントパネル。コーディング順位 #14あり
OpenHandsターミナル、クラウドブラウザと API アクセスを備えるオープンソース自律エージェントなし
gooseターミナルBlock のオープンソースエージェント、拡張駆動なし
Qwen CodeターミナルAlibaba の CLI ワークフローツールなし
CrushターミナルCharm の TUI エージェント、ターミナル操作性が良いなし
OpenClawチャット起点チャットアプリからコマンドを実行。流量でコーディング第5位あり
Windsurf / Devin / FactoryIDE とクラウド商用の自律エージェント、サブスク前提なし

Antigravity と GitHub Copilot は同じものか

r/AI_Agents のスレッドで、同じ人が Antigravity を高く、Copilot を低く評価しているのを見て、まさにこう問うた人がいました。もっともな疑問で、答えは示唆に富みます。表面的には確かに同じ製品カテゴリだからです。大手ベンダーのツール、厳選されたモデルメニュー、トークン請求ではなくサブスクリプション。

分かれ目はメーターの回り方です。Copilot はクレジット残高から引かれ、エージェント作業がそれを削るので、高価なモデルで重いセッションを回すと月の枠を早々に使い切ります。スレッドの投稿者は、同僚が5日で $30 の予算を消した話を挙げています。Antigravity の計量は別で、リクエストごとの残高ではなくプラン階層に紐づく使用上限なので、体感は「財布が減るのを見る」から「壁に当たって待つ」に変わります。どちらが常に優れているということはありません。作業が波状なら、繰り越しなしで毎月リセットされるクレジットプールは無駄が出ます。定常的に重いなら、固定上限のほうが読めます。

2つ目の違いは検証です。Antigravity は自ら操作するブラウザを同梱するので、フロントエンドの変更がループ内で目視確認されます。Copilot の強みは反対側の端にあり、プルリクエスト、コードレビュー、CI という、コードが書かれる場所ではなく着地する場所に組み込まれています。

リモートや非同期で動く harness はどれか

サーバーに置けるのはターミナルネイティブなツールです。Codex CLI、Claude Code、OpenCode、Reasonix、Pi はいずれも SSH 越しにヘッドレスで動き、Pi は print/JSON、RPC、SDK の各モードを用意して最も遠くまで行っています。Cursor は動作中のエディタに縛られます。Copilot は逆方向に振り切っていて、クラウドエージェントが issue を受け取り、こちらのマシンを一切介さずにプルリクエストを返します。Antigravity 2.0 は複数エージェントを並列実行しますが、それはローカルウィンドウ内のローカルエージェントです。

この列での意外な存在が Cline です。拡張はエディタを必要としますが、CLI は必要としません。ローカルの hub デーモンとブラウザダッシュボードを起動し、接続中のクライアントと実行中のセッションを追跡するので、SSH で入った先のマシンでも実用になります。

ブラウザで表示した Cline Hub ダッシュボード。接続中のクライアント2つ、ローカル作業ディレクトリに対して openai-compatible の deepseek-v4-flash モデルを動かしているアクティブセッション1つ、そして最近のイベント一覧が見えている

無人での長時間作業が目的なら、候補は短くなります。ターミナル harness と、キャッシュが安定したモデル。まさに Reasonix が狙って作られたニッチです。

エージェントコーディング1か月の実費はいくらか

今月見つけた最も情報量の多い数字は、ベンダーではなくユーザー発でした。r/AI_Agents のスレッドで、4プロジェクトを並行する開発者が自分の DeepSeek ダッシュボードを投稿しています。1か月でおよそ12億トークン、その圧倒的多数がキャッシュ読み出しで、$9.57。ベンチマークではなく個人の記録として扱うべきですが、形が教訓になっています。支出が少なかったのは安い harness を使ったからではなく、コンテキストのほぼ全部がキャッシュから供給されたからです。

これはコストの問い方そのものを組み替えます。harness が請求額を直接動かす幅は小さく、実際に動かすのは2つです。ターン間でコンテキストをどう組み立てるかによるキャッシュヒット率と、ファイルを読み直したり失敗ステップを再試行したりする頻度によるトークン総量です。毎ターンプロンプトをゼロから組み直す harness は、まったく同じモデルでも、追記型の何倍もかかります。だからモデルとリポジトリとタスクの3つを揃えない限り、ツール間のタスク単価比較はほぼ意味を持ちません。

サブスク型はこの問いを隠すことで回避します。Copilot や Antigravity ではタスク単価がそもそも見えず、枠の減り方しか分かりません。予算管理には本物の利点で、最適化には本物の欠点です。

どんなときにどれを選ぶか

どのツールにも勝てる場面があります。順に:

  • Codex CLI:OpenAI スタックの中で生活していて、シェルコマンドを自動承認する人。ここで唯一、コードベースに OS レベルの分離プリミティブ(macOS の seatbelt、Linux の Landlock と seccomp)が見えるツールです。
  • Claude Code:チームのプロセスを harness に埋め込みたい人。組み込みの拡張ポイントをこれだけ公開しているツールは他にありません。
  • Antigravity:複数エージェントを並列で走らせ、目視で検証し、トークン単位の不安を抱えたくない人。
  • GitHub Copilot:作業がエディタのセッションではなくプルリクエストとレビューで起きていて、チーム全員がすでにシートを持っている場合。
  • Cursor:編集速度が最優先の人。Tab モデルに匹敵するものはここにはありません。ただしエージェント作業はその内蔵ターミナルで回す前提で。
  • Cline:IDE の中で計画してから実行する規律を、安いモデルを後ろに置いて回したい人。
  • OpenCode:モデルの自由が要件で、設定作業を厭わない人。
  • Reasonix:セッションが何時間も走り、キャッシュの経済性が請求額を支配する人。
  • Pi:ループについて強い見解があり、製品ではなく土台が欲しい人。

複数を併用できるか

できますし、経験豊富な開発者の多くは実際そうしています。r/AI_Agents のスレッドは、唯一の勝者を探す記録というより、ポートフォリオの描写に近く読めます。速い編集にはエディタ、ローカルの文脈には IDE エージェント、テスト込みの複数ファイル作業にはターミナルエージェント。あるコメント投稿者は、この3レーンを明示的に分けたうえで、新しいツールは必ず同じ3課題(バグ修正、小さな機能追加、テスト付きリファクタリング)で試し、手動の介入が最も少なく最小できれいな差分を出したものを残すことを勧めていました。

これはこのカテゴリのどのベンチマークより優れた評価手順で、しかも半日で済みます。私たち自身の Claude Code・Codex・Gemini CLI・Cursor の4ツール比較ターミナルエージェント対決も、同じ作業を1ツールずつ通すという同じやり方でカテゴリに向き合っています。

この検証をやる人が少ない理由は、難しいからではありません。3つの harness を回すとは、3組の認証情報を設定することだからです。

全部を同じキーに向けるには

これがこの比較全体の下にある実務上の穴です。モデルを選べるツールはどれも、独自の認証情報を、独自の形式で、独自の設定ファイルに要求します。Claude Code は ANTHROPIC_BASE_URLANTHROPIC_AUTH_TOKEN。Codex は TOML の model_providers ブロックに wire_api = "responses"。Cline は拡張 UI のプロバイダー設定。OpenCode はプロバイダーエントリ、Reasonix は reasonix.toml の一節、Pi は独自のプロバイダー設定。6ツールで6か所、そして各モデルベンダーに直接払うなら、プールされないレート制限を伴う請求書が6通です。

この穴は実在し、特定のツールの落ち度ではありません。カテゴリが2つのワイヤプロトコルにだけ標準化して、他は何も揃えなかった結果です。

これらのエージェントの大半が OpenAI 互換か Anthropic 互換の HTTP を話すので、対処はどこでも同じ形になります。両方のプロトコルを提供する1つのエンドポイントに向け、配管ではなくモデル ID 文字列を変えることです。ofox.ai は両方を公開しているので、同じキーで Claude Code、Codex CLI、Cline、OpenCode、Reasonix、Pi を賄え、支出も6か所ではなく1か所に集まります。ツール別の設定は連携ドキュメントにあり、限界も併記しています。Copilot は Chat のみ・個人シートのみ、Cursor は Tab と Agent を完全に塞ぎ、Antigravity にはそもそも設定項目がありません。9つのうち3つは完全には加われず、そうでないふりをしても検証初日の午後で崩れます。

これが利便性以上に効くのは、上の評価手順のためです。同じバグ修正を同じモデルで3つの harness に通すのは、認証情報が最初から共有されている場合にだけ安く済みます。

結論:ループを選び、それからモデルを選ぶ

最良の harness は存在しませんが、より良い問いは存在します。そして多くの記事は問いを間違えています。付き合い続けるのは制御ループなので、ツールはループで選ぶ。モデルは別に選ぶ。それを許すツールでは、開発者はすでに2つを独立した判断として扱っているからです。OpenRouter のデータがそれを経験的に裏づけています。Claude Code の中で最も人気のモデルは Anthropic 製ではなく、しかも僅差ではありません。

出発点を1つだけ挙げるなら、base URL を受け付けるターミナル harness を、キャッシュ効率の良いモデルに向け、エディタは編集用に残す。この構成が、このカテゴリで最も使い込んでいる層が収束した先で、月のコストはランチ1回にも届きません。

参考情報源

よくある質問

AI コーディングエージェントの harness とは何ですか?
harness はモデルを包んでエージェントに変えるプログラムです。モデルはトークンを生成するだけで、どのファイルをコンテキストに読み込むか、モデルがどのツールを呼べるか、シェルコマンドに承認が要るか、テストが落ちたときにどうするか、中断したセッションを再開できるかを決めるのは harness です。Claude Code、Codex CLI、Cline、OpenCode は harness、GLM 5.2、GPT-5.6、DeepSeek V4 はモデルです。両方を選ぶ必要があり、その組み合わせのほうが単体の良し悪しより効きます。
Claude Code で Anthropic 以外のモデルを動かせますか?
動かせます。OpenRouter 上ではむしろそちらが多数派です。Claude Code は ANTHROPIC_BASE_URL と ANTHROPIC_AUTH_TOKEN を読むため、Anthropic Messages API を話すゲートウェイならどれでも代わりになります。2026-08-11 締めの OpenRouter 30日間データでは、Claude Code 内で GLM 5.2 が 3.14T トークン、Anthropic 自社4モデル合計が 1.98T でした。この数字は Claude Code を意図的にゲートウェイへ向けた層しか含まないため、市場シェアではありません。
Reasonix は DeepSeek 公式のツールですか?
違います。Reasonix はコミュニティプロジェクトで、リポジトリは github.com/esengine/DeepSeek-Reasonix、MIT ライセンス、npm パッケージ名は reasonix、独自サイトは reasonix.io です。DeepSeek の公式ドキュメントがエージェント連携として挙げているのは Claude Code、GitHub Copilot、OpenCode で、Reasonix の記載はありません。Reasonix の解説を載せている deepseek.ai ドメインも、ページ上で独立サイトであり DeepSeek とは無関係だと明記しています。
Gemini CLI は終了して Antigravity CLI に置き換わったのですか?
いいえ。2026-08-11 時点で google-gemini/gemini-cli リポジトリはアーカイブされておらず、非推奨の告知もなく、preview・stable・nightly の3チャンネルで配信が続いています。Antigravity が独自の CLI を追加したのは事実で、それを置き換えと読んだ報道はありますが、antigravity.google も Google Developers Blog も Gemini CLI の終了には触れていません。
いちばん安く動かせる harness はどれですか?
コストは harness よりモデルとキャッシュ挙動でほぼ決まります。この比較で最も安い構成は、ベンダー非依存の harness をキャッシュ効率の良い低価格モデルに向けるやり方で、DeepSeek V4 Flash が Cline と Pi の双方で最多使用モデルになっているのがその表れです。サブスク型は前提が変わります。GitHub Copilot や Antigravity で買っているのはトークンではなく枠なので、上限は固定でもタスク単価は見えません。
コーディングエージェントごとに別々の API キーが必要ですか?
base URL を設定できるツールなら不要です。Claude Code、Codex CLI、Cline、OpenCode、Reasonix、Pi はいずれもカスタムエンドポイントを受け付けるので、ゲートウェイのキー1本で6つを賄え、支出も一か所にまとまります。GitHub Copilot はサードパーティ製 VS Code 拡張を経由し、しかも Chat のみです。Cursor は Tab と Agent で外部エンドポイントを塞いでいます。Antigravity にはその設定自体がありません。
拡張性がいちばん高いのはどれですか?
組み込みの拡張面が最も深いのは Claude Code です。hooks、サブエージェント、skills、MCP サーバー、そして CLAUDE.md の慣習があります。Pi は意図的に正反対の立場を取り、それらを一切内蔵せず拡張 API だけを提供して必要なものを自分で組ませます。Reasonix は中間で、MCP サーバーに加えて reasonix.toml で宣言するバージョン付きサイドカー拡張プロトコルを持ち、さらに plan モード、権限レイヤー、ワークスペースサンドボックス、ターンごとのチェックポイントを備えます。長時間の無人実行を狙った構成です。ここに絶対的な勝者はなく、全部入りか素材かの選択があるだけです。