Codex Computer Use 完全ガイド:Mac / Windows のデスクトップを AI に操作させる(2026)
OpenAI が 4/16 に Codex デスクトップ版へ追加した Computer Use を徹底解説。画面を見てクリックし入力し、Mac(バックグラウンド)と Windows(フォアグラウンド)の任意の GUI アプリを操作。機能の境界・セットアップ・権限・安全モデル、そしてコーディングだけなら Codex CLI + ofox でどこまで代替できるかまで。
結論から。 OpenAI は 4 月 16 日、Codex デスクトップアプリに Computer Use を追加した。Codex が画面を見て、クリックし、入力し、デスクトップ上の任意の GUI アプリを操作できるようになった——もはやブラウザ内に閉じていない。macOS ではバックグラウンドで走り(マウスもキーボードも取られず、別の作業を続けられる)、Windows はフォアグラウンド占有(5/29 の v26.527 で後追い)。 「チャット欄の中のコーディング助手」から「自分でデスクトップを操作するエージェント」へ——今回の更新が本当に越えた一線はここにある。日本からは普通に使えるが、デスクトップ操作そのものには ofox の等価物はない。コーディング部分だけなら Codex CLI + ofox でローカル化できる。
Computer Use とは何か
まず Codex 内で混同しやすいものと切り分ける。
Computer Use ≠ Codex CLI:CLI はターミナル内のコーディングエージェントで、ファイルを読み書きしコマンドを走らせ、スコープはコードリポジトリだ。Computer Use はデスクトップアプリの機能で、スコープは画面上の GUI——見るのはピクセル、押すのはボタンだ。
Computer Use ≠ Chrome 拡張:Chrome 拡張が引き受けるのはログイン済みの本物の Chrome で、スコープはブラウザ内。Computer Use のスコープはデスクトップ全体で、ブラウザは操作対象の 1 つに過ぎず、ネイティブアプリもシステム設定も射程に入る。タブ横断のウェブ操作や DevTools だけが目的なら、まずコーディングエージェント比較の Claude Code vs Codex CLI vs Cursor vs DeepSeek を読んだうえで拡張を検討するほうが早い。「PC 全体を操作させたい」ときが Computer Use の出番だ。
公式の説明は率直だ——Codex に「seeing, clicking, and typing」(見る・クリック・入力)をさせる。画面をキャプチャして UI を理解し、どこを押し何を入力するか決めて実行する。macOS と Windows の決定的な差は、この動作がフォアグラウンドで走るかバックグラウンドで走るかにある:macOS では公式が明示するとおりタスクをバックグラウンドで実行でき、あなたは別の場所で作業を続けられる(入力デバイスは取られない)。Windows はフォアグラウンド占有だ(次節で詳述)。
同じ 4/16 の更新では、レンダリング済みページに直接コメントを付けられる内蔵ブラウザも追加された。少し前(3/25)に登場したプラグインの仕組みは、skills・アプリ連携・MCP サーバー設定を 1 つのインストール可能な bundle にまとめる。本稿ではこれらには踏み込まず、Computer Use に絞る。
3 本の能力ラインとタイムライン
Computer Use は一度に全部来たわけではなく、3 回に分けて登場した。境界がそれぞれ違うので、手元のバージョンがどこまでできるかを把握しておくと事故が減る:
| 能力 | 登場日 | バージョン | プラットフォーム | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| バックグラウンド Computer Use | 2026-04-16 | v26.415 | macOS | バックグラウンド実行、入力デバイスを占有しない |
| ロック後も継続(Locked / Remote) | 2026-05-21 | v26.519 | macOS | Mac ロック後も操作でき、Codex Mobile から遠隔起動可 |
| Windows Computer Use | 2026-05-29 | v26.527 | Windows | フォアグラウンド占有、タスク中は現在のデスクトップを占有 |
macOS と Windows の体感差は、この機能で一番覚えておくべき点だ:
- macOS バックグラウンド:公式はタスクをバックグラウンドで実行でき、あなたは別の場所で作業を続けられると明記している。Codex はバックグラウンドで操作し、マウスやキーボードを取らない。あなたはフォアグラウンドでいつも通りコードを書ける。
- Windows フォアグラウンド占有:Codex が現在のセッションを引き受け、ポインタが自分で動き文字が自分で打たれるのを目にする。タスク中はその PC を明け渡す形になり、マウスを奪おうとすると中断する。
Locked Computer Use は「目標を設定し、PC をロックし、翌朝結果を見る」ような長時間タスク向けだ:Mac をロックしても Codex はデスクトップアプリを駆動でき、Codex Mobile から手元のスマホで、机に残した Mac にタスクを投げられる。機能そのものより安全モデルのほうが興味深いので、下で個別に扱う。
⚠️ 提供地域:Computer Use は当初(4/16 の macOS 初出時)は欧州経済領域(EEA)・英国・スイスで提供されなかったが、2026-06-16 からこの 3 地域でも利用可能になった(公式 changelog)。日本は当初から対象で、この点で困ることはない。
セットアップと権限(macOS)
Computer Use の導入は 2 ステップ——プラグインを入れ、システム権限を与える。
手順 1、プラグインを入れる。 Codex デスクトップアプリで:
Settings → Computer Use → Install
手順 2、macOS のシステム権限を与える。 ここが一番詰まりやすい。Codex は「システム設定 → プライバシーとセキュリティ」で 2 つの権限を取る必要がある:
- 画面収録(Screen Recording):Codex が対象アプリの画面を見えるようにする。これがないと目が見えない。
- アクセシビリティ(Accessibility):Codex が代わりにクリック・入力・ナビゲートできるようにする。これがないと見えても動けない。
初回起動時に macOS が許可を求めてくるので、それに従えばよい。拒否してしまった場合は「システム設定 → プライバシーとセキュリティ」で手動で Codex にチェックを入れ、アプリを再起動する。この 2 つはシステム層の権限で、Codex 内部の「どのアプリを操作してよいか」とは別物だ——システム権限は「Codex が見て動けるか」、アプリ許可は「Codex が具体的にどのアプリに触れるか」を司る。
操作対象の指定。 プロンプトで mention を使って範囲を切る:
@Computer Keynote を開いて 3 ページ目のタイトルを 40pt に
@Safari このタブ群の見積もりを 1 枚の表にまとめて
@Computer はデスクトップ全体、@アプリ名 は特定アプリの指名だ。Codex は新しいアプリに触れるたびに許可を求める。信頼するアプリは Always allow を選べば毎回のダイアログが消える。ただし開放する前に一考を——Always allow はそのアプリの操作権を長期的に渡すことに等しい。
Windows 側の差:フォアグラウンド占有という体感差に加え、許可/拒否のアプリ一覧は設定ファイルに書く:
$CODEX_HOME/computer-use/config.toml
ここでホワイト/ブラックリストを管理すると、ダイアログを 1 つずつ押すより一括管理に向く。
向く仕事、向かない仕事
Computer Use が強いのは「GUI がある・API がない・反復・巻き戻せる」仕事だ。典型的に向く場面:
- API のないデスクトップソフト内の反復操作:デザインツールや古い社内クライアントで設定を一括変更、ファイルを書き出す。
- アプリ間の運び屋:あるアプリから読み、連携のない別アプリへ入力する。
- フロントエンド/ゲームの「見ながら直す」:内蔵ブラウザと組み合わせ、レンダリングされたページ上で「このボタンを左へ」と指す。
逆に、以下は Computer Use を使わず別の道がよい:
- 純粋なコード変更:これは Codex CLI の主戦場だ。わざわざ GUI でクリックしに行かない。
- API / MCP がある作業:接続できるなら画面キャプチャしてボタンを押さない。GUI 自動化は「より良いインターフェースがないときの最後の手段」で、第一候補ではない——遅く、脆く、見た目に依存する。
- 巻き戻せない高リスク操作:DB 削除、本番データの一括変更、「支払い確定」を押す。Computer Use は無人でタスクを完遂するのは得意だが、「この一手を押すべきか」の判断は得意ではない。
安全モデル:できないこと、そしていつでも止められること
ここが Computer Use をバックグラウンド/ロック中に走らせられる根拠であり、手を離せる前提でもある。
硬い境界(公式が固定、設定でも回避不可):
- ターミナル系アプリを自動操作できず、Codex 自身も操作できない——GUI 自動化でコマンドを走らせ sandbox を迂回させないため。
- 管理者として認証できず、システムのセキュリティ/プライバシー許可ダイアログを代わりに承認できない——権限昇格を防ぐため。admin ダイアログに当たると止まって待つ。
あなたの手にあるブレーキ:
- タスク中はいつでも引き取り・停止できる。Codex が違うウィンドウを狙ったら即キャンセル。
- macOS のロック中使用(Locked Computer Use)の安全設計:Codex は Apple の認証プラグインをアンロックフローに組み込む。タスク中は一時的にアンロックするが全ディスプレイはロック画面で覆われたまま、認証ウィンドウは短命で今回の操作にのみ紐づく。ローカルのキーボード/トラックパッド/マウスに触れた瞬間、Mac は即座に再ロックし自動アンロックを止める。恒久的な許可は存在しない。
- ファイル編集や shell コマンドは従来の Codex の承認・sandbox 設定に従う。Computer Use がそこに抜け道を作ることはない。
実務では原則 1 つ——タスクを狭く保ち、一度に 1 つの対象だけを狙う。不要な機微アプリは事前に閉じる。アカウント・支払い・認証情報が絡む操作は人が立ち会う。
コストと、いつ Codex CLI を ofox 経由にするか
Computer Use は Codex デスクトップアプリの機能で、ChatGPT アカウントでアプリにログインして有効化する。Codex のタスクを走らせるには ChatGPT Plus(月 20 ドル〜)または Pro が要る。ここでよくある勘違いを 1 つ潰しておくと——「AI が自分のカーソルで PC 上の全アプリを操作する」というデスクトップ操作そのものに、ofox や第三者の等価物は今のところ存在しない。 Computer Use は macOS / Windows の画面収録・アクセシビリティ権限に依存する、Codex デスクトップアプリのネイティブ機能だ。ofox は OpenAI 互換の API ゲートウェイで、代替できるのはモデル層であってデスクトップ操作層ではない。
代替できるのはこの部分だ。もし Computer Use を主にコーディングのために使いたいなら、GUI 操作は要らず Codex CLI で足りる。しかもモデルは ofox 経由でコストを下げられる。Codex CLI はカスタム base_url に対応し、OpenAI 互換ゲートウェイに向ければ経路が変わる。まず CLI を確認:
npm install -g @openai/codex
codex --version
そして ~/.codex/config.toml:
model = "openai/gpt-5.3-codex"
model_provider = "ofoxai"
preferred_auth_method = "apikey"
[model_providers.ofoxai]
name = "ofox.ai"
base_url = "https://api.ofox.ai/v1"
env_key = "OFOX_API_KEY"
wire_api = "responses"
OFOX_API_KEY は ofox.ai コンソールで発行し、export OFOX_API_KEY=sk-... でシェルへ。wire_api = "responses" は選択肢ではない——Codex CLI は chat を早期に非推奨化し、現在は responses のみ受け付ける。ホットパスを openai/gpt-5.3-codex、軽い作業を約 5 倍安い openai/gpt-5.4-mini に振り分ければ、1 本の鍵で使い分けられる。Claude Code からの乗り換えを考えているなら Claude Code から Codex への移行 も参照。
ブラウザ操作が目的なら、Codex CLI に Playwright MCP や chrome-devtools MCP を挿せばログイン状態や DevTools も含めて代替できる。残る本当に代替できないのは「API がなく、ブラウザにもない、ネイティブなデスクトップアプリの操作」——そこは公式の Computer Use を使うしかない。
Computer Use(アプリ)vs API 側の computer ツール
混同しやすい点をもう 1 つ。OpenAI には「computer use」が 2 種類ある。
- 本稿のもの:Codex デスクトップアプリの Computer Use。個人ユーザー向けで、プラグインを入れ、システム権限を与え、@ で呼ぶだけ。コードは書かない。
- API 側の
computerツール:Responses API 経由で、開発者が自分のアプリ内に computer-use ループを組むためのもの。スクリーンキャプチャ → モデルの判断 → アクション実行というループを自分で書く。
両者を混ぜないこと。「箱を開けてすぐ AI に自分の PC を操作させたい」ならアプリ側、「自社プロダクトに仮想マシンやブラウザを操作するエージェントを組み込みたい」なら API 側だ。執筆時点で ofox のモデル一覧は標準の対話・コーディングモデル(openai/gpt-5.3-codex を含む)で、API 側の computer-use ツールは掲載範囲外——API 版 computer use を組むなら OpenAI 公式を使う。
次の一歩の選び方
手元の条件と本当の目的で選ぶ:
- ChatGPT Plus / Pro があり、デスクトップ操作そのものが欲しい → 公式 Computer Use をそのまま。日本は提供対象で、macOS のバックグラウンド動作が快適。
- Codex にコードだけ書かせたい、デスクトップ操作は要らない → Codex CLI + ofox。1 本の鍵で複数モデルを使い分け、トークンコストを抑えられる。
- ブラウザ自動化が目的 → CLI + Browser MCP。
- API のないネイティブアプリを操作したい → 公式 Computer Use 一択。等価な代替はまだない。
Codex / Claude Code / Cursor で迷っているなら、Claude Code vs Codex CLI vs Cursor vs DeepSeek 比較が 4 者のトレードオフを並べている——「デスクトップ全体を引き受ける」Computer Use は、今のところ Codex が他社に対して持つ独自の 1 枚だ。
よくあるエラー早見表
プラグインを入れたのに画面が見えない/クリックできない:画面収録かアクセシビリティ権限が不足。「システム設定 → プライバシーとセキュリティ」で Codex の両権限にチェックし、Codex アプリを再起動する(権限変更は再起動しないと効かない)。
@Computer が無反応、テキストしか返らない:対象アプリが未許可のことが多い。Codex のアプリ許可プロンプトを見落としていないか確認するか、手動で許可一覧に追加する(Windows は $CODEX_HOME/computer-use/config.toml)。
Windows で走らせるとマウスを取られる:仕様どおり——Windows はフォアグラウンド占有で、タスク中は現在のデスクトップを占有する。バックグラウンド動作は macOS のみ。
ロック後にタスクが止まった:Locked Computer Use は macOS 専用(v26.519+)で、ローカル入力デバイスに触れると再ロックして自動アンロックを止める。バージョンを最新にし、タスク中はキーボードやトラックパッドに触れない。
CLI 代替が 401:OFOX_API_KEY が未 export か、値がプレースホルダ。echo $OFOX_API_KEY で値を確認し、ダメなら ofox コンソールで鍵を再発行する。


